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民法判例 3

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敷金返還と家屋明け渡しの同時履行関係
敷金返還請求の相手

建物の賃借人による建物不法占拠者に対する建物賃貸人の建物引き渡し請求権の代位行使
保険金請求権の代位行使のための要件



 敷金返還と家屋明け渡しの同時履行関係

◆昭和49年09月02日 最高裁判所第一小法廷判決 昭和48(オ)30家屋明渡請求 民集第28巻6号1152頁
【判示事項】
賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無
【裁判要旨】
家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない。

【参照法条】
民法533条,民法619条2項


期間満了による家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務が同時履行の関係にあるか否かについてみるに、賃貸借における敷金は、賃貸借の終了後家屋明渡義務の履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することのある一切の債権を担保するものであり、賃貸人は、賃貸借の終了後家屋の明渡がされた時においてそれまでに生じた右被担保債権を控除してなお残額がある場合に、その残額につき返還義務を負担するものと解すべきものである。そして、敷金契約は、このようにして賃貸人が賃借人に対して取得することのある債権を担保するために締結されるものであつて、賃貸借契約に附随するものではあるが、賃貸借契約そのものではないから、賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、一個の双務契約によつて生じた対価的債務の関係にあるものとすることはできず、また、両債務の間には著しい価値の差が存しうることからしても、両債務を相対立させてその間に同時履行の関係を認めることは、必ずしも公平の原則に合致するものとはいいがたいのである。一般に家屋の賃貸借関係において、賃借人の保護が要請されるのは本来その利用関係についてであるが、当面の問題は賃貸借終了後の敷金関係に関することであるから、賃借人保護の要請を強調することは相当でなく、また、両債務間に同時履行の関係を肯定することは、右のように家屋の明渡までに賃貸人が取得することのある一切の債権を担保することを目的とする敷金の性質にも適合するとはいえないのである。このような観点からすると、賃貸人は、特別の約定のないかぎり、賃借人から家屋明渡を受けた後に前記の敷金残額を返還すれば足りるものと解すべく、したがつて、家屋明渡債務と敷金返還債務とは同時履行の関係にたつものではないと解するのが相当であり、このことは、賃貸借の終了原因が解除(解約)による場合であつても異なるところはないと解すべきである。そして、このように賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合にあつては、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもつて家屋につき留置権を取得する余地はないというべきである


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 敷金返還請求の相手

◆昭和44年07月17日 最高裁判所第一小法廷判決 昭和43(オ)483 家賃金請求 民集第23巻8号1610頁

【判示事項】
賃貸建物の所有権移転と敷金の承継
【裁判要旨】
建物賃貸借契約において、該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、未払賃料債務があればこれに当然充当され、残額についてその権利義務関係が新賃貸人に承継される。
【参照法条】
民法619条,借家法1条1項


敷金は、賃貸借契約終了の際に賃借人の賃料債務不履行があるときは、その弁済として当然これに充当される性質のものであるから、建物賃貸借契約において該建物の所有権移転に伴い賃貸人たる地位に承継があつた場合には、旧賃貸人に差し入れられた敷金は、賃借人の旧賃貸人に対する未払賃料債務があればその弁済としてこれに当然充当され、その限度において敷金返還請求権は消滅し、残額についてのみその権利義務関係が新賃貸人に承継されるものと解すべきである


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債権者代位権

 建物の賃借人による建物不法占拠者に対する建物賃貸人の建物引き渡し請求権の代位行使

◆昭和29年09月24日 最高裁判所第二小法廷判決 昭和28(オ)812 室明渡請求 民集第8巻9号1658頁

【判示事項】
債権者代位権による建物明渡請求権の行使方法
【裁判要旨】
建物の賃借人が、賃貸人たる建物所有者に代位して、建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合には、直接自己に対して明渡をなすべきことを請求することができる。
【参照法条】
民法423条

建物の賃借人が、その賃借権を保全するため賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠者に対しその明渡を請求する場合においては、直接自己に対してその明渡をなすべきことを請求することができるものと解するのを相当とする。


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 保険金請求権の代位行使のための要件

◆昭和49年11月29日 最高裁判所第三小法廷判決 昭和47(オ)1279 損害賠償請求 民集第28巻8号1670頁

【判示事項】
交通事故による損害賠償債権を有する者が債権者代位権により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するための要
【裁判要旨】
交通事故による損害賠償債権を有する者がその債権を保全するため民法四二三条一項本文により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するには、債務者の資力が債権を弁済するについて十分でないことを要する。
【参照法条】
民法423条1項

金銭債権を有する者は、債務者の資力がその債権を弁済するについて十分でないときにかぎり、民法四二三条一項本文により、債務者の有する権利を行使することができるのであるが(当裁判所昭和三九年(オ)第七四〇号、同四〇年一〇月一二日判決、民集一九巻七号一七七七頁)、交通事故による損害賠償債権も金銭債権にほかならないから、債権者がその債権を保全するため民法四二三条一項本文により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するには、債務者の資力が債権を弁済するについて十分でないときであることを要すると解すべきである。


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